Rは大学の帰り道、顔見知りの女の子(Tさn)と校門を出るタイミングが一緒になりました。
Tさんの方から気さくに話しかけてくれたので、駅まで一緒におしゃべりをしながら歩きました。
偶然おとずれた女の子との会話
Rは奥手で女性慣れしていませんでしたが、その子(Tさん)は今まで特に異性として意識してはいなかったので、それほど緊張することもなく会話ができました。
そして話し込むうちに音楽の趣味が同じということが分かり、大いに会話が盛り上がりました。
音楽の話の中で、TさんはRの持っていないアルバムを貸してくれると言います。
アルバムを借りることを理由に、次にいつ会うのかを自然に約束できました。
大学では一日通して、いや一週間を通しても女の子と会話をしないこともあるくらい奥手男子そのものだったRは家に帰ってから、
「俺でも女の子と楽しく、自然に会話ができたぞ!」
と自分に満足したのでした。
Tさんが話しやすい子だったということもありましたが、そうであったとしても自然に話ができた自分をほめてやりたい気持ちになりました。
さらに次に会う約束までしています。
なんだか自分にも明るい未来がやってきたように思いました。
予想を上回る展開にビビるR
約束した日は休日の夕方です。
あらかじめ一緒にご飯を食べる約束をしていたので、適当にお洒落な感じのお店に入りました。
前と同じように趣味の話題で会話も弾み、2件目に行くことになりました。
2件目では若干お酒も入り、お互いにリラックスした雰囲気になりました。
2件目のお店を出て帰る途中に川があり、駅までの道を川沿いを一緒に歩いていました。
会話の雰囲気から察するに、Tさんは自分のことを少なくとも悪くは思っていないはず、という感触はありました。
川沿いを歩く2人は、他人から見れば付き合っているカップル以外には見えなかったと思います。
門限までまだ時間があったので、川沿いのベンチに2人で座り、Rが誘導したわけでもないのに良い雰囲気になってきました。
Tさんとの会話の内容は、
Rはどんなタイプの女の子が好きか?
Rに彼女はいるのか?
そんな会話になっていました。
やがて会話も途切れがちになり、ポツリポツリとお互いがつぶやくのみで、最後に沈黙が訪れました。
Rはキスをしたことがありません。
Rの心臓はバクバクと音が鳴り、口から飛び出そうになっていました。
たぶんここはキスをするところなのだろうと思いました。
分かっていましたが、まだ付き合ってもいないのにキスをして良いものだろうか?
もし拒否されたらどうしよう?
ただの友達と思っていた、なんて言われたらショックだし・・・。
そんな思いがグルグルと駆け巡り、結局なにもしないまま無言の時間だけが過ぎていきました・・・。
気まずく思ったのか、しばらくしてTさんが
「もう帰らないと・・・」
と言ったので、その日は駅でサヨナラしました。
チャンスを逃したのか?
あそこでキスを迫ればOKだったのか?
あれこれ考えながら家路につきましたが、寝る前にはこう思いました。
あんな良い雰囲気になった2人なのだから、焦らなくてもまたチャンスはあるさ!
次は先に自分から告白しよう!
そうしよう。
・・・そんなチャンスは2度とやってくることは無いということも知らず、自分の勇気の無さを棚に上げたままRは眠りにつきました。
チャンスを逃した男を待っていたもの
次の日、RはTさんにメールを送りました。
昨日はとても楽しかったこと、また会いたいという内容のメールでした。
Rは当然Tさんから予定を決めるための返信がくるだろうと思って、携帯をそばに置いたままTさんからの返信を待っていました。
すぐにでも返信があるだろう。
なんたって昨日はあんなに雰囲気が良かったのだから。
そんなRの思いとは裏腹に、Tさんからの返信がないまま1日が過ぎました。
次の日にやっとTさんからの返信が来ましたが、次のデートを決めることはおろか、忙しいので会えないことを短文で書かれていました。
RはTさんからの反応が鈍いことに違和感を感じましたが、会う予定を決めたいとの内容のメールを何度か送りました。
しかし帰ってくる返信メールはとてもそっけなく、Rとの予定が合わないという内容のものばかりでした。
ここでRは諦めがつきました。
Tさんはすでに自分に興味がないことは奥手なRでも理解できました。
しかし自分の何が悪かったのかが理解できません。
Tさんに聞くわけにもいかず、自分の何がいけなかったのか?
謎のままTさんとの仲は終わりました。
恋のチャンスは一度きりと心得よ
Rの何がいけなかったのでしょうか?
Rはどのように行動すればうまくいったのでしょうか?
その原因は全て川沿いのベンチで勝負をかけなかったことにあります。
そう、夜のベンチでキスを迫らなかったRの行動力の無さが原因です。
あの時キスをするには絶好の条件が整っていました。
それなのに、Rの臆病さが顔を出し、自分だけの理屈から勝負を先延ばしにしてしまいました。
恐らくTさんは覚悟をしていたはずです。
Rからキスを迫られるのを期待していたのです。
しかし結局Rからは何も行動が起こらなかったので、あきれられたのでしょう。
当日のデートの雰囲気もRが作ったものではなく、Tさんのリードによるものだったかも知れません。
Tさんからすれば、全て自分が作り上げたデートの最後の仕上げが川沿いでのキスだったとしたら、その期待に応えられなかったRに幻滅するのも仕方ないでしょう。
バレーボールに例えると、最後に絶妙のトスを上げてくれたアタッカーがそのトスを見送ったようなものです。
「なぜそこでスルーする!?」
Tさんの心の声はこれと同じだと思います。
そこまでTさんがあざとくなくても、キスを迫って来なかったRは自分(Tさん)に対して好意を持っていなかったと思い、傷ついたかもしれません。
いずれにしても、チャンスを逃してしまったRに次はありません。
恋愛とはそういうものです。
昔からよく言われるように、
「チャンスの女神には前髪しかない」
まさにその通りであり、その場その時に行動するかしないかによって、結果は大きく違ったものになるということですね。
この話の教訓
恋愛のチャンスがあなたに訪れた時には、Rのように逃げずにそのチャンスを掴み取って欲しいと思います。
告白、初めてのキス、初めてのHは誰もが死ぬほどに緊張するものです。
しかし男なら逃げ出したくなる気持ちを押さえ込み、余裕の表情で行動に移しましょう。
一緒に恋愛勝ち組になりましょう!
勘の良いあなたはお気づきかと思いますが、主人公のRは昔の私です(笑)
失敗から学ぶことはたくさんありますが、わざわざ自分が体験しなくてもよいならそれに越したことはありませんから、私の失敗から何かを学んでくれると嬉しいです。
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